エクセルの関数(計算式)の中にセル番号を代入することを「参照」といいます。
この参照には、「絶対参照」「相対参照」「複合参照」という3種類が存在します。
それぞれの特徴と違いを理解しておくと、参照を使う際にミスがなくなります。
ここではExcel2013を用いて解説していますが、Excel2010以前でも同じ方法で使うことができますので、ぜひ読んでみてください。
絶対参照・相対参照とは?
エクセルで計算を行なう時、通常はこのようにセル番号をそのまま代入します。
オートフィルを使うと、代入するセル番号も自動で変化します。オートフィルは、セルの右下に出てくる四角形をドラッグすることで行なえます。
金額の合計などを一気に求める時に重宝する機能です。
では表の空いている部分、商品単価にかかる消費税額を求めてみましょう。
消費税は商品の種類や個数、単価に関わらず一定なので、専用にセルを設けます。
こうすると単価の入っているセルと、消費税率の入っているセルを掛け合わせるだけで簡単に求められます。式は次のように書けばOKです。
=D3*I3
他の商品の消費税を求めるために、オートフィルを使ってみましょう。
オートフィルを使うと他のセルの消費税率が0円表示になってしまいます。これは、オートフィルによって代入するセルも引っ張られた結果、 I4~I9の空白のセルが代入されているせいです。
このように、数式が複製された時、複製先のセル番地に合わせて代入されるセル番号を自動的に変化させるものを「相対参照」といいます。
これと対になるものが「絶対参照」です。「絶対参照」は、参照するセルを固定するので、オートフィルで数式を複製しても「相対参照」のように変わることはありません。下図でいうと消費税率の入っている「I3」セルのことです。
絶対参照で計算式を作るには、対象のセル番号の「行番号」「列番号」両方の手前に半角の $ を入れます。
I3セルを絶対参照するなら、 $I$3 という具合です。
手打ちだとなかなか大変ですが、対象のセル番号を数式バーに代入した後で F4 キーを押すと、自動的に絶対参照としてくれます。
絶対参照値 I3 は不動なので、オートフィルを使っても変化しません。
複合参照とは?
先ほど使った絶対参照値 $I$3 の「行」または「列」どちらかを相対参照としたもののことです。少し分かりづらいですが、代入するセル番号の「行」と「列」のどちらか片方が絶対参照で、もう片方を相対参照とする方法です。
複合参照は、どちらか片方の数値を固定して、オートフィルによる計算を行なえます。今回のように消費税計算や、売上の構成比の算出(商品の売上 / $売上の合計)など、ひとつの数値を複数のセルで使うような場合に便利です。
先ほど絶対参照 $I$3 を F4 キーで作りましたが、F4キーを押した回数で複合参照を作ることもできます。
これの関係は、
- 絶対参照:F4を1回
- 行を絶対参照:F4を2回
- 列を絶対参照:F4を3回
- 絶対参照を使わない:F4を4回
となります。
「行」と「列」は、どちらが縦で、どちらが横?
2つの違いについて、いかがでしたか?絶対参照と相対参照をうまく使い分けていきたいですね。
ところで、絶対参照と相対参照以外にも、エクセルの用語にも少し分かりにくいものがあります。その中のひとつが、今回の解説にもよく出てきた「行」と「列」です。どちらが縦を意味して、どちらが横を意味しているのか、パッと分かるでしょうか?
エクセルの場合は、こうやって覚えると簡単です。
- 1、2、3など、セルを横に並べるものが「行」
- A、B、Cなど、セルを縦に並べるものが「列」
絶対参照の他にも何かと役立つので、ぜひ覚えておいてくださいね。