分析を行うことの目的は、「どうしてそうなったのか」という原因を突き止めることにあります。しかし、原因を突き止めるのは容易なことではありません。なぜなら原因とは、小さな要素が積み重なってできているからです。この小さな要素を突き止める分析手法を「要因分析」と呼びます。
前述のとおり、要因分析で突き止めたい要素は小さなもので、単に表を見るだけでは見つけることが困難です。そんなとき、グラフによってデータを視覚化できるエクセルなら、その要因が発見しやすいといえます。
前回説明したピボットテーブルを使うと、要因分析を行いやすくなりますので、自信が無い方はこちらを確認しながら作ってみてください。
それでは、要因分析を始めてみましょう。
要因分析に最適な“逆トーナメント分析”とは?
要因分析を実践する上で重要になるのが、逆トーナメント分析です。
逆トーナメント分析は、結果から要因を追求してゆく分析方法です。仮に、試合のトーナメント表で例えるならば、優勝した地点から初戦までの間を分析していき、「なぜ優勝に至ったのか」を1試合ごとに検証、要因を探し出すという流れになります。よくオフィスで耳にする「フィードバック」という言葉を思い出していただければ、イメージしやすいのではないでしょうか。
逆トーナメント分析を使用したケース事例
さて、それでは実際にエクセルを使用しての逆トーナメント分析を紹介します。ここでは「比較」と「割合」が鍵を握るので、この2つに注目してみてくださいね。
まず、図1のピポットテーブルでは、3店舗の合計売上金額を比較しています。それぞれの店舗における売上金額を比較してみると、渋谷店が最も低い数値になっています。さらに、その中の渋谷店の販売した数量を商品ごとに見てみると、圧倒的に「ピザパン」の売り上げが少ないことがわかるでしょう。ここが要因分析の第一段階になります。
それでは、「渋谷店の売上が低いこと」「渋谷店の中ではピザパンの売り上げが低いこと」、この2点を元に、渋谷店のデータをグラフで表示してみましょう。
【図2】
割合を表示した横棒グラフ(図2)からデータを分析していきます。一番右端のピザパンはどの項目もほぼ同じ割合ですが、なぜか販売単価だけ突出しています。つまり、販売単価が適正でない可能性があります。また、全体のデータにおけるピザパンの割合は、どれも低めになっていることから、人気がなく利益も少ないことがわかります。そのため、渋谷店ではピザパンの販売は中止して、新メニューを企画する必要があるかもしれません。
このように、それぞれの結果に対して検証を行うと、ピンポイントで要因へとたどり着くことができます。
ここで、他にも気になるところはないでしょうか?図2をよく見て考えてみてください。
【図3】
たとえば、データが煩雑になり難易度が高くなると、もっと多くのグラフを使用する場合があります。しかし、要因は一つだけとは限りませんので、応用力を鍛えれば対応できる幅も広がっていくでしょう。
ちなみに先ほどの事例を応用すると、図3のように渋谷店のジャムパンは、販売した数量に対して、販売単価の低さが目立ちます。そのため、販売単価を上げたときに、たとえ数量が落ちたとしても、売上金額の大幅なダウンは考えにくいです。むしろ、値上げしてもなお人気が続けば売上金額をアップさせることにつながるでしょう。つまり、「渋谷店における新戦略が浮上する」という判断も可能だということです。
ほかにも、他店舗における商品ごとの販売数量や、店舗ごとの比較など、色々な角度での分析が考えられます。
最後に
要因分析は、全体に大きな影響を与えた原因を導くことに適した手法です。最大の原因を見つけることに適している反面、小さな問題を見つけることには適しません。要因分析の他にも多くの分析方法と、用いるべきケースを理解したとき、あなたの分析能力は飛躍します。的確な分析ができれば、職場から信頼されて、より大きな案件で分析を任されるようになりますよ!