状況の変化や、同業他社との競合が激しい業界では、既存の発想のままでビジネスを継続していると、利益増加が難しいばかりでなく、自社の存続が危うくなる場合もあります。
新しいビジネスを生む「新たなアイデア」を発想・整理する能力はビジネスパーソンとして大切な能力です。
しかし、新たなアイデアの重要性は理解しているものの、具体的にどのように発想・整理をすべきなのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで、新しいアイデアを発想するための「ブレーンストーミング」、アイデアを整理するための「KJ法」という著名な2つを、エクセルで実践する方法をご紹介します。
これらのアイデアの発想・整理法が生み出された当時は、「紙」と「ペン」で作業が行なわれていましたが、エクセルで行なうことで作業が手軽になります。例えば、エクセルの画面をプロジェクターに投影すれば、多数の参加者と情報を共有しつつ作業を進めることが可能ですし、ノートPCを利用すれば喫茶店などでも作業を進めることができます。
それでは、具体的な方法を見てみましょう。
1. エクセルで「ブレーンストーミング」
「ブレーンストーミング」は、集団でアイデアを出し合い、互いを刺激することで、より多くの新しいアイデアを生み出すことを目的とした方法です。そのため、通常の会議とは異った4つのルールがあります。
- 自由奔放にアイデアを出す
- 他者のアイデアの批判は厳禁
- 質より量の重視
- 他者のアイデアへの便乗は歓迎
「ブレーンストーミング」によって出されたアイデアを「紙」ではなく、シート上の「セル」に連番をつけて書き出します。書き出す文言は30字程度以内で、できるだけ簡潔にすることがポイントです。
例えば、「スマートフォン向けセキュリティ商品」というテーマの提案書を作成するために「ブレーンストーミング」を行なったとき、以下のようなシートが作成されました。
2. エクセルで「KJ法」
ブレーンストーミングによって、ある程度のアイデアが収集できたら、「KJ法」による情報の整理・分類を行ないます。KJ法の手法をエクセルで行なう場合は、以下の手順で作業を進めていきます。
- テキストボックスを利用して「分析用ラベル」の作成
- 「関係性」が認められるラベルごとにグループを作り「見出し」を付与
- さらに「大グループ」が作成できないか検討
- 結論として、図解化・文章化
2から4までが、「KJ法」に相当する手順ですが、ここでは簡略化した手順で進めています。より詳細な整理・分析方法にご興味のある方は、『発想法―創造性開発のために』、『続・発想法―KJ法の展開と応用』等の書籍をご一読ください。
テキストボックスを利用して「分析用ラベル」の作成
まず準備として、書き出したセルの内容の全てを個別のテキストボックスに転記し、情報を自由に配置できるようにします。
また、フリーウェアの「EXCELによるKJラベルの自動生成」を使用すると、自動的にセルからテキストボックスへ転機してくれるので、時間と手間の短縮につながります。
全てのアイデアを個別のテキストボックスに転記できたら、全てのボックスをひと目で見られるように配置します。
「関係性」が認められるラベルごとにグループを作り「見出し」を付与
次に、個々のアイデアの「キーワード」に着目して、関係性のあるアイデアをグループ化し、それぞれに「見出し」をつけておきます。ここでは、10のアイデアを4つのグループに分類できます。
さらに「大グループ」が作成できないか検討
作成した個々のグループについて、さらなるグループ化をはかります。ここでは、2つのグループを1つの大グループにまとめました。
結論として、図解化・文章化
最後に、これらの整理・分類を図、あるいは文章にして、提案書に盛り込みましょう。例えば、これらのアイデアについて、実現するためのコスト、自社の開発能力、市場における潜在的需要などとの関係から分析することになります。
さいごに
ここでは「KJ法」を中心に説明をしてきましたが、実は「紙」と「ペン」を使っていると「手間がかかりすぎる」とも言われていました。「紙」と「ペン」の代わりにエクセルを使えば、「手間」というデメリットを少なくできるのです。
みなさんも、エクセルを使ってアイデアの発想・整理方法に、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。