営業事務や総務事務の方々が日々取り扱う顧客リスト。顧客リストをエクセルで管理する上で気をつけたいのが「入力方法」です。エクセルはデータを管理するには大変便利なソフトですが、有効に活用するには入力方法を統一しておく必要があります。グループ内で顧客リストの管理をしている場合など、顧客リストの作成が複数名でされる場合や、ご自身以外が作成したデータを使って加工編集する場合、知っておくと大変便利な裏技をご紹介いたします。
場面①もらったデータに半角・全角が混在している!
顧客リストを加工編集する場合、半角・全角は統一しておく必要があります。エクセルはあくまで機械的に物事を判断するので、例えば半角の「ノート」と全角の「ノート」は別々のものであると判断します。もらったデータに半角・全角が混在していた場合、どちらかに統一しましょう。
- 半角に統一する場合:ASC関数
ASC関数は全角英数カナ文字を半角に変換する関数です。下図のように半角・全角が混在しているデータがあります。下に同じ表を作り、変換後のデータを表示させたいセルに「=ASC(変換対象セル)」を入力します。ASC関数は( )で囲んだセルの文字列を調べ、全角英数カナ文字が存在していた場合は半角に変換し、ASC関数を入力したセルに変換後の情報を表示させます。
その後セルのフィルハンドルをひっぱり、オートフィル機能を使って数式をコピーさせれば全ての情報を半角に変換させることが出来ました。
- 全角に統一する場合:JIS関数
JIS関数はASC関数とは逆で指定した半角文字列を全角に変換する関数です。使い方もASC関数と同じで、ASC関数の代わりにJIS関数を使えばリストを全て全角に統一することも簡単に出来ます。
場面②「フリガナ」の入力を忘れていた!
顧客リストにはフリガナ欄があると便利ですが、フリガナを入力するのは大変です。PHONETIC関数を使えばフリガナを別のセルに取りだせます。図1にはフリガナが入っていませんが、このリストにフリガナを表示させたいと思います。図2のようにまず担当者の横に1列セルを挿入しフリガナのセルとします。フリガナ欄をDセル担当者名横に作成するのでEセルを選択後、右クリックから「挿入」を選び1行挿入します。
Eセルに1行挿入が出来ました。
続いてE3セルに「=PHONETIC(D3)」と入力すると、フリガナが表示されました。
オートフィル機能を使って下にコピーすれば全ての担当者のフリガナが入り完成です。
いくつか読み仮名候補がある漢字の場合は、セルの入力時に用いた情報を表示します。
例えば、「剛」という漢字をフリガナで表示させる場合、大元の漢字を入力する際に「つよし」と入力して変換していれば「ツヨシ」、「ごう」と入力して変換していれば「ゴウ」と表示されます。入力時の情報まで遡って表示してくれるので、とても便利です。
場面③住所は書いてあるが、郵便番号が書いていない!
顧客リストに郵便番号を表示させると年賀状や宛名ラベルの作成に便利です。しかし図1のように住所は入力されているが郵便番号が入力されていない場合や、受け取った名刺に郵便番号の記載がないものを顧客リストに入力した場合は、便利なエクセルの機能を使って簡単に郵便番号を表示させることが出来ます。
[エクセル2007の場合] 最新の「Office郵便番号辞書」と、「Excelアドイン郵便番号変換ウィザード」をインストールしていない場合はマイクロソフト社からエクセルのバージョンに合ったoffice辞書とExcelアドイン郵便番号変換ウィザードをダウンロードし、インストールしましょう。インストール後はエクセルを終了させ再起動して下さい。その後「officeボタン」から「excelのオプション」を選び、アドインの設定で郵便番号ウィザードのチェックボックスにチェックを入れます。
場面②で使用したリストに郵便番号用セルをFセルに挿入します。
G3からG6までの住所が入力されているセルを選択し、リボンの「アドイン」を開き、「ウィザード」から「郵便番号変換」を選択。
ウィザードの指示通りに進んで行き、ステップ2/3の「郵便番号の出力するセル範囲」で郵便番号用に作成したFセルを範囲指定してウィザードを完了させると、フリガナが全部表示されました。
郵便番号をインターネットで検索しつつ顧客リストに入力していくのは大変で、件数が多い場合はかなりの時間を要します。一方、郵便番号ウィザードは事前準備として、2つのツールをダウンロードしてインストールを終わらせる必要がありますが、最初に準備を終えていれば後はウィザードの指示通りに選択するだけで簡単に郵便番号が表示されるので大変便利です。
顧客リストは規則性を持って入力することでデータベースとしての真価を発揮してくれます。関数を入力したりアドインを使ったりとひと手間をかけることで効率が良くなり、正確性も増す上に作業時間も手作業に比べかなり短縮出来ます。短縮した時間を入力ミスなどの人為的ミスにチェックの時間に充てる事が出来るので、更に仕事の作業効率と信頼性に貢献します。緻密なデータ作りは効率良く仕事をする為に必要なスキルです。今回紹介した簡単に使える裏ワザをマスターして是非日頃の業務に是非役立てて下さいね。